三沢光晴 対 川田利明
三冠ヘビー級選手権試合(1993年7月29日)
馬場の十六文に驚愕し、鶴田のバックドロップに息を飲み、そして今、三沢、川田、宿命の対決に胸を躍らせる。王道プロレスは脈々と受け継がれて参りました。三冠統一ヘビー級タイトルマッチです。世界最強の称号と、栄光の三冠ベルト。この三冠王者三沢光晴。鶴田が叫びハンセンが号泣し、三沢が新時代の到来を告げました。
<川田入場 〜Holy War〜>
君は鶴田にあこがれた三沢を知っているか。そして三沢になりたかった川田を知っているか。昭和57年、三沢と同じ足利工大付属高校レスリング部から、一年遅れて赤い頬をした一人の少年が全日本プロレスの門を叩きました。川田利明18歳、だれよりも長い、そしてつらい下積み。そういう下積み時代でしたが、三沢を目標に北風吹きつける日も、炎天突き刺す日もひとりで、黙々と、泣きながら心と体を研ぎ澄まして参りました川田利明。やってまいりました。そして超世代軍として、三沢とともに歩みだした三年間、川田はたくましく成長をつづけ、日本を代表するレスラーに育て上げました。三沢がいたから川田がいた!この川田が打倒三沢を掲げ、三沢と袂をわかち、新たな船出。11年まえ真っ白だったキャンパスに、思い描いた三沢越え、なりますかどうか。野生のままにわがままに!危険なままにしなやかに!川田利明入場!
<三沢入場 〜スパルタンX〜>
三沢光晴の戦いの歴史はつねに限界への挑戦でした。18歳でのデビュー。つらかったメキシコ修行。タイガーマスクとしての激動の6年間。そして虎の仮面を脱いで三沢光晴としての再出発。打倒鶴田を目指し超世代軍を結成。川田とともに3年間、全身全霊のファイト。ついに悲願の三冠王者。世界の頂点をきわめました。そして今、かつての三沢自身がそうであったように川田が三沢越えを胸に超世代軍を離脱。新たな道を歩みはじめました。その川田の熱き心に熱き思いをどう受け止めどう答えを出すのか!!
<コール>
「青コーナー挑戦者260ポンド カワダー!!トシアキー!!」
三沢に夢を蹴りこめ!!川田利明!
「赤コーナー三冠ヘビー級選手権者255ポンド ミサワーミツハルー!!」
川田よ!川田よ!死ぬ気でこーい!!
<試合>
5分が経過、ドロップキック、川田!珍しい!!
左肩を脱臼しても左肩に包帯を巻きながら、戦い続けてまいりました三沢。進む道は違ってもいっしょに過ごした超世代軍、三年の日々をお互いに忘れてほしくない!!川田!引っこ抜いたー!
こんなに燃えた青春は初めて!!
あー!バックにまわった!デインジャラスバックドロップ!!
三沢光晴、耐える、粘る、しのぐ、こらえる、たたかーう!
ジャーマンスープレックス!投げ捨てー!!ジャーマン投げ捨てー!三沢12年。川田11年。私も実況生活10年!彼らとともに大きくさせてもらいました。頑張れ川田、頑張れ三沢!
ジャーマン連発!!三連打!鬼の三沢!!
鬼が二人いる!!はじめてみた!三沢の顔!強い、強い三冠王者!最強のチャレンジャー川田利明。
抱き起こす。川田はもう意識を失っているかもしれません。タイガースープレックスホールド!三沢!四回目の防衛に成功しました!!
実況:若林健治(日本テレビアナウンサー)
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