三沢光晴・小橋健太 対 ジャイアント馬場・スタンハンセン
1994年3月5日 日本武道館
<三沢・小橋入場 ~スパルタンX~>
弥生三月早春の夢、日本武道館。馬場・ハンセン対三沢・小橋。夢のカードを迎えました。超世代軍、三沢・小橋。天地6m四方の大舞台。しかしファンにとっては、レスラーにとっては、かけがいのない夢の詰まった晴れ舞台であります。さあ、リングがある。ファンがいる。歓声が聞こえる。テーマがなる。あとはお前だけ!さあ、超世代軍、小橋、三沢入場。ここ、武道館は三沢小橋にとって思い出の地。昨年世界最強タッグ決定リーグ戦、プロ入り初めて世界のベルトを巻いた小橋、先頭でやってまいります。おなじく初めて鶴田を破った三沢。ともに男泣き。こぼれ落ちる涙の粒だけ、汗の数だけ、プロレスへの思いのたけは深い。小橋キャリア7年目、三沢光晴キャリア12年目。ともにジャイアント馬場に憧れ、全日本の門を叩いた若者が、悲願の師匠馬場越えなりますかどうか。
<馬場・ハンセン入場 ~サンライズ・王者の魂合体テーマ~>
世界の巨人、ジャイアント馬場、右。世界の不沈艦、スタンハンセン左。巨艦砲やってまいります。
シャープ兄弟対力道山、木村政彦。昭和29年日本テレビが実況生中継。
街頭テレビの前は黒山のひとだかりになり、敗戦に打ちひしがれた日本国民を励ましてまいりました。以後、日本テレビのプロレス中継は数々の名勝負を送り出してまいりました。
夢のコンビ、ファンはこの日をまっておりました。すでにハンセンは入場。
外国人選手のトップをはって十数年。そしてプロレスキャリア33年、いま馬場が入場。NWA世界ヘビー級王座を極めること3回。
エリック、サンマルチノ、デストロイヤー、強豪を打ち破ってまいりました。
そしてそのプロレス血脈は鶴田・三沢と受け継がれてまいりました。宿命のライバル馬場ハンセン。互いの熱い魂を秘め、二つの魂がひとつになってまいります!
<コール>
「本日のメインイベント 夢のカード60分一本勝負を行います。」
「赤コーナー270ポンド コバシケンター!!」
大歓声を呼ぶ男!小橋健太!
「赤コーナー255ポンド ミサワーミツハルー!!」
クールな目をして熱いヤツ!三沢光晴
「青コーナー300ポンド ジャイアントババ!!」
宿命のライバルから信頼、そして握手へ。男たちの歴史がここにあります。ジャイアント馬場!
「青コーナー300ポンド スタンハンセン!!」
世界の不沈艦、テキサスロングホーン!スタンハンセンです!
「レフリー和田京平」
<試合>
大歓声に包まれました日本武道館!夢のカード16000人!
夢舞台、まもなくゴングです!
まず、ハンセンと小橋。いまゴングが鳴りました。
夢のカード日本武道館
首をつかんで、そしてジャイアント馬場とタッチを行いました。昭和54年、夢のオールスター戦以来の15年ぶり武道館のメインイベント、ジャイアント馬場先制攻撃!
馬場と三沢です。十年前、タイガーマスクとしてデビューをしたとき、その特訓のパートナーをも務めましたジャイアント馬場!
二人の胸を去来するものは何か!右のエルボー、三沢も返す。ジャンプしてのエルボー
馬場倒れる、三沢構える、馬場睨む!しかし余裕が伺えます。ジャイアント馬場。
そしてフェイスロック!超世代結成とともに、開発したこのフェイスロック
思い出の技、超世代軍の技!三沢の技!
実況10年、私はいつも三沢と一緒でした。最高だ三沢!そして小橋!夢は受け継がれる!
明るく、楽しく、激しい、全日本プロレス!
ギブアップかハンセン!三沢のフェイスロック。馬場は小橋のスリーパーを振りほどきました!
そして正面!16文であります。
馬場がのど元チョップケサ斬り!力道山から受け継いだケサ斬りチョップ!
そして!馬場オリジナル脳天唐竹!打ち合う!打ち合う!すごいぞ!
昭和のプロレスを支えて参りましたジャイアント馬場!
巨人軍に入団、そのあと大洋ホエールズの入団テスト、そのあと右手を切りました。
しかし33年プロレスを支えてきた!
小橋ムーンサルトでるか!三沢がハンセンをカット!
馬場がでる、出る、でちゃう!2m9cmのバックドロップ!
馬場選手、ドリルアホールパイルドライバー!
場内、大歓声ー!さあ、小橋に覆いかぶさる!
危ない危ない!
さあ小橋がんばれるか!
努力辛抱が負けてたまるか!小橋健太そして三沢光晴。おれからプロレスを取ったら何が残る!プロレスは俺の夢!
俺はプロレスが好き!負けない!こんなにまだ一生懸命やっている!
絶対勝つ!絶対勝つ!決めてやる!一生プロレスをつづける!
30分を超えている!場内大歓声!
馬場が、ラリアット!そして16文!
これが34年プロレスを支えてきた力!脳天逆落とし!
理想のプロレス団体を作ってきました馬場。純粋に大切に手作りに、ランニングネックブリーカードロップ!そして選手全員が明るく楽しく激しい全日本プロレス!
ハンセンがカット!すべての会場で年間150試合全身全霊のファイト!
ハンセンが場外!
理想の日本一のプロレス団体を作りました。ジャイアント馬場!
武道館も含め、バックドロップ!首都圏連続満員も100日を越えました。女性ファンの悲鳴が聞こえます。少年ファンが拳をふりあげます。
プロレスは変わりました。全日本プロレスは変わりました。
自らが一歩引くことによって若い世代が急成長!四天王と呼ばれる三沢、小橋、川田、田上!
三沢がバックドロップ!三沢がカバーする
三沢がカバーする!馬場越えなるか!師匠馬場越えなるか!あと一息歴史的瞬間はここ弥生三月日本武道館で生まれるか!
馬場さん馬場さん!16文!馬場さん行け!すごい表情だ、全盛期の表情だ!
小橋は言っています。もう馬場さんと大舞台でやれるのはそうないはず。もしかしたらラストかもしれないんです。だから夢の勝負なんです。夢の勝負、夢の日本武道館!もうすぐ春が来ます。全日本プロレスにも春が来ます。
拳が入りました。
ムーンサルトプレス!まさかー!
馬場気力で返しました。
精神力!勇気という心!この表情!
馬場はこの小橋三沢の猛ラッシュを受けています。そして耐えています。
馬場選手にも三沢小橋と同じ世代のときがありました。その心中はいかに。
トップロープ、トップロープ、三沢光晴!三沢光晴!何を狙っている!
おーーと!ランニングネックブリーカードロップをトップロープから打ちました!
三沢光晴、馬場からピンフォール!
三沢光晴、馬場越えを、果たしましたー!
歴史的瞬間がおとずれました。
馬場敗れる~!三沢光晴勝つ!
35分11秒の勝負でした!
すばらしい試合でした。しかし歴史的な瞬間でしたが、百田さん!勝ち負けを超えた
これぞ全日本プロレスという試合を見せてくれました。
実況:若林健治(日本テレビアナウンサー)
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